原因

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV:Hepatitis B Virus)の感染によって起こる肝臓の病気です。

B型肝炎ウイルス(HBV)とは

ウイルス とは細菌よりさらに小さく、基本的に自分自身を複製するために必要な設計図である遺伝情報 ( DNA または RNA )とたんぱく質からなる生物で、生きた細胞(宿主)に感染して初めて増殖することができます。HBVの場合、宿主は人の肝臓の細胞(肝細胞)となります。

HBVは、直径42nm(ナノメーターは1mの10億分の1)で、中心に遺伝情報を保存しているDNAを持ち、その周りを芯(コア:core)とさらに外殻(エンベロープ:envelope)が取り囲む二重構造になっています(下図参照)。
人に感染すると肝細胞に侵入し、増殖します。HBVそれ自体は肝炎を引き起こしませんが、ウイルスが人にとって異物と認識された場合には免疫機能が働き、体内から排除しようとします。しかし免疫機能は、肝細胞の中にいるウイルスだけを狙って攻撃することができないため、肝細胞ごと攻撃します。
このとき肝細胞が破壊され、肝炎となります。HBVは、肝炎ウイルスの中では比較的感染力の強いウイルスで、血液や体液を介して感染します。しかし、日常生活の場でHBVに感染する危険性は、きわめて低いものです。

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HBVの概要図

HBVにはその遺伝子型(ジェノタイプ)によって、AからHまでの8つのタイプがあります。
日本では、いままでジェノタイプCのHBVに感染した人が多くみられていました。ジェノタイプCのHBVは成人になって感染した場合、肝炎が慢性化する可能性はきわめて低いものです。
しかし最近では、欧米に多いジェノタイプAのHBVに感染した人が日本でも増加しているとの報告があります(注意:ここに出てくるジェノタイプC、ジェノタイプAとはB型肝炎ウイルスの種類のことで、 C型肝炎を引き起こすC型肝炎ウイルスA型肝炎を引き起こすA型肝炎ウイルスのことではありません)。
ジェノタイプAのHBVに成人が感染すると、治癒せず肝炎が慢性化することがあります。

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