感染経路(垂直・水平)

B型肝炎ウイルス(HBV)は、 ウイルスに感染している人の血液、または体液を介して感染します。感染経路は主に、HBVに感染している母親から、生まれた子供への感染(母子感染:垂直感染)と、それ以外による感染(水平感染)があります。

B型肝炎の主な感染経路は
以下の2通りです。

垂直感染

現在、日本のHBV感染者は110万~140万人いるとされていますが、その多くは母子感染防止策がとられる以前の母子感染によるものです。
母親がHBVに感染していると、出産のときに産道において血液を介して赤ちゃんに感染することがあります。

乳幼児は免疫機能が未熟なため、HBVに感染してもウイルスを異物と認識することが難しく、また認識できても排除する能力が弱いためウイルスは肝細胞にすみつき、感染した子供は無症候性キャリア(HBVに感染しても肝炎の症状が無く健康な人)となります。

思春期~30歳ごろになると免疫機能が発達し、ウイルスを体内から排除しようと肝細胞を攻撃し始めるため、肝炎を発症します。しかし、多くの方は肝炎の症状も軽く、肝障害が進行することは少ないのですが、HBV感染者の約10%の方が 慢性肝炎に移行します。また、HBV感染者の約1~2%の方が、肝硬変、肝がんを発症します。

現在では、母子感染防止策がとられており、新たな母子感染はほとんど起きていません。

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水平感染

水平感染の原因として以前は、医療従事者の針刺し事故や予防接種での注射器の使いまわし、HBVに汚染された血液の輸血に伴う感染がありました。しかし、ワクチンの接種や医療環境の整備、献血された血液に対する適切な検査の結果、これらを原因としたHBVの感染は現在ではほとんど起きていません。

その他の原因に、性交渉、ピアスの穴あけや入れ墨などで器具を適切に消毒せず繰り返し使用した場合、注射器を共用し麻薬などを注射した場合などがあります。

なかでも近年最も多いのが、性交渉による感染です。
よく知らない人と性交渉を持つときには、他の性行為感染症の予防効果もあるコンドームを使用するようにしましょう。
しかし、絶対安全ということはありませんので、不特定多数の方と性交渉を持つことはなるべく避けてください。
また、パートナーがHBVキャリアの場合、HBV未感染の方は、B型肝炎ワクチン(HBワクチン)の接種により感染を予防することができます。

成人になってからHBVに初感染した場合、70~80%の方は肝炎にならず自然に治癒します。急性肝炎を発症するのは、残りの20~30%の方ですが、大部分は治癒します。しかし、1~2%の方は、劇症肝炎を発症し、時に死亡することもあります。
また、近年増加しているジェノタイプAのHBVに感染した場合、肝炎が慢性化する可能性が高くなります。

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垂直感染(母子感染)と水平感染

感染を防ぐために

HBVは、血液や体液を介して感染します。
空気感染、経口感染することはありません。

したがって、ご自身の血液や体液が直接または間接的に他人につかないよう注意をしていれば、日常生活の場でのHBV感染の危険性はほとんどありません。

感染を防ぐために、
以下の点に注意しましょう

  • 献血は絶対にしないでください。
  • 血液がついたものは、むき出しにならないよう包んで捨てるか、よく洗い流しましょう。
  • 歯ブラシ、ひげ剃り等の血液が付着する日用品は個人専用にし、他人に貸したり、または借りたりしないようにしましょう。
  • 他の病気で病院に行ったとき、また歯科治療の際は、医療従事者への感染を予防するためにも、医師にB型肝炎であることを告げましょう。
  • 外傷、皮膚炎、鼻血、月経などで出血したときは、できるだけ自分で手当をし、血液のついたものはむき出しにならないよう包んで捨てるようにしましょう。また、他人に手当てをしてもらう場合は、手当てをする人に血液や分泌物がつかないよう注意しましょう。
  • トイレの後は、流水でよく手を洗うようにしましょう。
  • 乳幼児に口うつしで食べ物を与えないようにしましょう。
  • 性交渉で感染するため、パートナーには事前に説明し、パートナーがHBV未感染の場合は、B型肝炎ワクチン(HBワクチン)を接種してもらうようにしましょう。
    コンドームを使用することで感染を防止することは可能ですが、絶対安全というわけではありません。