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4.キャリアとは

成人は免疫機能が確立しているため、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染しても、多くの場合は不顕性感染で自然に治癒します。一部の人では、急性肝炎を発症し、一過性の感染を経て治癒します。どちらの場合も、ウイルスは体から排除されており、HBVに対する免疫を獲得しています(しかし最近の研究で、健康上の問題はないもののごく微量のHBVが肝臓に存在し続けることが明らかになってきました)。しかし、免疫機能が未熟な乳幼児、透析患者、免疫抑制剤を使用している人などがHBVに感染すると、免疫機能がウイルスを異物と認識できないため肝炎を発症しないことがあり、ウイルスが排除されず、ウイルスを体内に保有した状態<持続感染>になります。このように、ウイルスを体内に保有している人を “キャリア”と呼びます。ジェノタイプBやCのHBVの一過性感染により発症する急性肝炎では、キャリア化することはあまりありません。しかし、近年報告が増えているジェノタイプAのHBVに感染した場合、キャリア化する可能性が高くなります。キャリアの約90%の人は一般的に、無症候期から肝炎期、肝炎沈静期と移行し、その後、無症候性キャリアのまま生涯を経過します。しかし、約10%の人は慢性肝炎を発症し、肝硬変肝がんへと進行する危険性があるとされています。

慢性肝炎になると、免疫によって攻撃された肝細胞は死滅しますが、肝細胞は再生能力が旺盛なため再生してきます。長年にわたり肝細胞の死滅と再生が繰り返されますが、細胞の再生が間に合わない場合、死滅した肝細胞の部分に、星細胞が線維を作り肝臓が形を保持するのを助けようとします。この線維が増えてしまうと、肝臓は硬くなりゴツゴツとした外見の臓器となります。この状態が肝硬変です(下図参照)。肝硬変になると、肝細胞の多くが破壊され、血液の循環が悪くなるため、肝臓は本来の機能が果たせなくなります。そして長い年月の炎症により、肝がんを発症すると考えられています。

肝硬変への経緯

HBVの概要図

しかしB型肝炎の場合、無症候性キャリアや慢性肝炎患者が、肝硬変を経ることなく肝がんを発症する事例が少なくありません。原因として、HBVのDNAの一部が肝細胞のDNAに組み込まれ、がん細胞が発生することがわかってきました(下図参照)。そのため、キャリアの方は、肝機能検査値に異常がみられなくても、定期的に肝がんを早期発見するための検査をうける必要があります。

キャリアの症状の経過で、ポイントとなるのが“セロコンバージョン:Seroconversion(Sero-: 血清、conversion: 変化)”です。血液中のHBe抗原が陰性(-)となり、HBe抗体が陽性(+)になることを意味しています(7.B型肝炎ウイルスの抗原・抗体の項参照)。セロコンバージョンは、HBVが免疫機能の攻撃をうけて、自分のDNAの一部を変異させることで起こります。免疫機能によってウイルスの活動が押さえ込まれるため、肝炎が沈静化し、無症候性キャリアとなります。

しかし実際には、セロコンバージョンが起きた後もウイルスが増殖を続け、肝炎が進行し、肝硬変や肝がんに移行する人もいることがわかってきました。原因としては、セロコンバージョンの後でも、HBVに変異が起こり、より増殖能力の強いHBVが発生してしまうことなどが考えられています。

このように、B型肝炎はどのような経過をとるのか判断が難しいため、キャリアの方はたとえセロコンバージョンが起きた後でも、定期的に肝臓の検査を受けるようにしてください。

肝がんへの経緯

HBVの概要図
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