暮らしのミニ情報

病気をかかえて元気に生きる

慶應義塾大学看護医療学部
教授 加藤眞三

肝臓病の患者さんは、かつて、安静や高タンパク・高エネルギー食を強調された時代がありました。

しかし、最近問題となっているのは肝臓病の進展と肥満との関係です。2000年を過ぎた頃より、肥満の方では肝臓病が進みやすい、あるいは肥満で脂肪肝がある人には肝がんが出てきやすいなど気になる研究成果が世界の各国から報告されています。そうすると、安静にし、高たんぱく・高エネルギー食をとっていると、肥満や脂肪肝をきたすことになり、かえって病気を進行させ悪くすることになります。

ところが、日本では、安静や高エネルギー食の指導がゆきわたった結果、肝硬変の患者さんでBMI25以上の肥満の方が4人に1人と予想した以上に多いことがわかってきました。
したがって、肝臓病をもつ患者さんの現代的な日常生活の注意は、むしろ肥満にならないバランスのとれた食事をとり適度な運動をすることです。

このコーナーでは、そのような現代的な暮らしのヒントを紹介したいと思います。
バランスのとれた食事をいかに美味しく、楽しくとることができるかについてレシピを紹介します。また、病気を抱えていても問題のない適度な運動についての情報を提供したいと思います。適度な運動をすることにより、日常生活のQOLをも向上させることが期待できます。

ここに挙げる、病気を悪化させず生活を楽しむという視点からの暮らしのヒントを参考に、肝臓病を抱えながらもよりよい生活を送っていただきたいと思います。